地域別相続税対策(大都市圏)
大都市圏で相続税対策の効果が高いのは、タワーマンションの最上階を購入することです。
カラクリは、マンションを購入すると、相続税法(正確には財産評価基本通達)では固定資産税評価額 で評価されます。物件により異なりますが、購入価格の概ね40%まで評価は下がります。
次に、固定資産税の評価は1階でも最上階でも同じですが、最上階は、景色やバルコニー部分の専属使用権などのプレミアム部分で、購入価格は高くなります。つまり、1階を買えば購入価格6,000万円⇒相続税評価額2,400万円と3,600万円(60%)評価が下がるのに対し、最上階だと、購入価格1億円⇒相続税評価額2,400万円と7,600万円(76%)も評価が下がります。床面積や材質などの構造のみで評価する固定資産税評価では、プレミアム部分が反映されないという特徴を利用した評価減対策です。賃貸物件にすると、さらに30%評価が下がります。
また、都心部のタワーマンション最上階は購入後も中古価格が落ちないケースが多く、相続税対策後に売却することも可能となります。
ただし、上記のスキームによって必ず相続税評価が下がるのではなく、課税上弊害があれば指摘を受ける可能性はあるので、必ず専門家と相談の上対策をすることが重要です。
地域別相続税対策(地方都市)
大都市圏以外で有効なのは、所有土地にアパートを建築することです。
概ねの目安として、
建築価格1億円 ⇒ 固定資産税評価額4,000万円 ⇒ 貸家評価額2,800万円
と7,200万円(72%)も評価が下がります。
さらに、アパートの底地は貸家建付地 として10~20%(土地により異なります)の評価減があります。
年代別相続税対策(60~70歳)
子や孫に年間110万円までの現金贈与(資産内容によっては贈与税を支払ってでも200~300万円の現金贈与)をします。子・孫で計4人の場合、10年間で110万円×4人×10年=4,400万円の相続財産の移転が、非課税で可能になります。
年代別相続税対策(70歳~)
高齢資産家の相続税対策としては、孫に1,500万円の教育資金一括贈与をするのが有効な手段です。70歳までのケースだと、孫が進学するタイミングで、入学金や授業料などを援助すれば、祖父母も扶養義務者としての立場があるので、贈与税非課税で教育資金贈与が可能です。ただし、大学卒業まで生存しない可能性も考えると、70歳以上だと教育資金一括贈与を検討すべきです。この制度の優れたところは、通常の贈与だと、亡くなって3年以内の贈与財産は、相続財産に加算して相続税を計算しますが、その規定から外れていることです。
つまり、孫2人に合計3,000万円を教育資金として贈与し、翌年に亡くなっても、相続財産としては除外され、相続税対策が完結します。ただし、孫が30歳までに教育資金として使い切ることは最低条件です。